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遠く離れた街の話を…
2007年 01月 16日 |
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「とにかく遠く離れた街の話を聞くのが好きだ。そういった街を、僕は冬眠前の熊のように幾つも貯めこんでいる。目を閉じると通りが浮かび、家並みが出来上がり、人々の声が聞こえる。遠くの永遠に交わることもないであろう人々の生のゆるやかな、そして確かなうねりを感じることもできる」 (村上春樹 『1973年のピンボール』)
  
 しばらくの間、訪れた遠い街の話をしていこう。そんな話をしてもなんの意味もないかもしれない。でも少なくとも僕には意味があることかもしれない。このことによって限界のある記憶のいくらかをつなぎとめることができるかもしれないしその時には考えていなかった何かに気づくことができるかもしれない。そして、もしかしたら遠く離れた街の話を聞くことが好きで、僕が感じている以上にそこで何かを感じてくれるかもしれない人もいるかもしれない。 記憶とともに貯め込んでいる写真(そんなにものすごい写真の数があるわけではないけど)も何かを語ってくれるようになるかもしれない。

 僕が旅をする時はとにかく歩く。歩く、そして歩く…足が棒のようになるまで…。その街のことを知るためには歩くのが一番よい方法だと思っている。パリの街は実はそれほど広くない。東京や大阪と同じではない。あまり知られてないし勧められてもないが、ほとんどの場所には歩いていく。写真はパリ大学(ソルボンヌ)の近くのBASSET通りという路地。この付近の雰囲気はとってもいい。同じ道を色んな時代に色んな人たちが歩いていった、そんなことをどうしても感じずにはおれくなるような道。

 そういえばこの近くでひとりの学生に助けられた。日本にメールで連絡をとる必要があったためネットカフェを捜していたが日曜日のためなかなか見つからない。ついに困って学生らしき人にネットカフェの場所を英語で尋ねた。残念ながら僕はフランス語はしゃべれなかった。そして彼は英語がしゃべれなかった。そういう時にもあきらめてはいけないことを僕は旅の経験で学んできた。必殺技の身振り手振り…今もしビデオで見ることができると大笑いになるような。そしてさすがはパリ大学の学生、僕の身振り手振りをその明晰な頭脳で理解してくれた。見ると「わかった。僕について来て」と彼が言っていた。すぐ近くなのかなあとついていくと、いくつものとおりを曲がり迷路のような路をとおってカフェまで連れていってくれた。ざっと1キロぐらい。こんなにとおくまで…。僕はできる限りの感謝を知ってる限りのフランス語で彼にあらわした。彼は暇人ではなく彼女とのデートの約束か何かがあったのじゃないかと思う。きびすを返して飛ぶようにしてもと来た路を戻っていったから…。

 とても気持ちの良い日曜日の午後のことだった。 あの子、それが原因で彼女に振られたりしてなかったろうなあと少し心配になってきた。彼は今頃,何をしてるのだろう。このBASSET通りを素敵な穏やかな瞳をもった彼女と腕を組み肩寄せ合って色んな話をしながら歩いてるのかもしれない…。
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